技術情報
線径0.035mmの極細銅線を高密度に巻く精密巻線技術|極小コイルの安定量産を実現
わずか直径2〜3mm程度の極小ボビンに、髪の毛の約半分の太さしかない線径0.035mmの極細銅線を巻き付ける。このような極細・極小コイルの製造には、一般的な巻線加工とは異なる高度な技術とノウハウが求められます。
極細銅線は非常にデリケートで、わずかな摩擦や張力の変動によって断線するため、安定した品質での量産が難しい加工のひとつです。
当社では、特殊微小テンション装置による精密な張力管理、独自の3段階巻線プログラム、専用治具を活用したハンダ付け技術を組み合わせることで、こうした難加工への対応を実現しました。
今回は、線径0.035mmの極細銅線を用いた高密度巻線における技術的な課題と、その解決に向けた取り組みをご紹介します。

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0.035mmの極細銅線を使用した極小コイル製造の難しさ
今回の加工対象は、米粒2粒程度の大きさに相当する約2〜3mmの極小ボビンです。この小さな部品に、線径0.035mmの極細銅線を約1,000ターン巻き付ける高密度巻線が求められました。
極細線の巻線加工では、通常のコイル製造以上に厳密な加工条件の管理が必要です。
特に問題となるのが、巻線時のテンション(張力)です。張力が強すぎると断線し、弱すぎると巻線が乱れ、コイルの形状や品質にばらつきが生じます。
さらに、ボビンの微細なバリや線材との摩擦、巻線位置のわずかなズレも不良につながるため、設備の精密制御だけでなく、加工工程全体の最適化が不可欠です。

課題①:微小テンション制御と3段階巻線プログラムによる高密度巻線
極細線の断線を防ぐ精密なテンション管理
線径0.035mmの極細銅線では、わずかな張力変動が断線の原因になります。
そこで当社では、自社保有の特殊微小テンション装置を活用し、極めて低い張力を安定して維持できる加工条件を構築しました。
線材への負荷を最小限に抑えることで、繊細な極細線を安定して巻き取ることが可能になりました。
独自の3段階巻線プログラムで線あふれを防止
もうひとつの課題が、ボビンのフランジ(つば)端部まで均一に巻き付ける高密度な整列巻線です。
通常のトラバース制御(線送り)では、巻線を重ねるにつれて線の整列が崩れ、部分的な盛り上がりやフランジからの線あふれが発生する場合があります。
一方、強引に巻線位置を補正すると、極細線に余分な負荷がかかり、断線のリスクが高まります。
この問題を解決するため、当社では各層の巻線状態に応じて動作条件を最適化する独自の3段階巻線プログラムを構築しました。
段階的に線送りを制御することで、線材への負荷を抑えながら巻線の偏りや盛り上がりを防止。約1,000ターンという高密度な巻線においても、均一で安定した整列状態を実現しています。
課題②:ハンダ付け時の断線を防ぐ「たわみ形成治具」の開発
極細線に適切な「遊び」を持たせる必要性
コイルの品質を確保するうえで重要なのは、巻線工程だけではありません。
今回の製品では、お客様からのご要望として、完成後の外力や振動による断線を防ぐため、ハンダ付け部分の極細線に一定の「たわみ(遊び)」を持たせる必要がありました。
しかし、線径0.035mmの極細銅線は非常に繊細です。端子への絡げやハンダ付けの際に線が張った状態になりやすく、適切なたわみを維持したまま固定することは容易ではありません。
専用スペーサー治具による安定したたわみ形成
そこで当社では、極細線を傷つけず、一定のたわみを再現性よく形成する方法を検証しました。
試行錯誤の結果、ハンダ付け時に基板とボビンの間へ一定の隙間を設ける専用スペーサー治具を独自に考案・開発しました。
特に工夫したのは、治具の取り付け・取り外し時に極細線が引っかからない形状です。
複雑な機構に頼ることなく、シンプルで低コストな構造を採用することで、作業性と品質の安定性を両立しました。
この専用治具により、作業者によるばらつきを抑えながら、適切なたわみを安定して形成できるようになりました。
精密な設備制御と現場の工夫で、累計1,000台以上の安定供給を実現
極細線を使用した小型コイルの製造では、設備の性能だけで解決できない課題が数多く存在します。
特に、極細線のハンドリングや微小な接合工程は全自動化が難しく、現場での細やかな工夫が品質を大きく左右します。
当社では、精密な巻線プログラム制御、微小テンション管理、専用治具による工程改善を組み合わせることで、安定した量産体制を確立しました。
その結果、今回の極細・極小コイルでは、累計1,000台以上の安定供給実績を積み重ねています。
これは、単に極細線を巻く技術だけでなく、製造工程全体を見直し、品質と生産性を両立させてきた取り組みの成果です。
極細線・極小コイルの巻線加工でお困りならご相談ください
「線径が細すぎて加工できない」「小型化に伴い巻線が難しくなった」「試作はできても量産化が進まない」
こうした精密巻線に関する課題は、設備制御の最適化や工程設計、専用治具の工夫によって解決できる可能性があります。
当社では、他社で対応が難しいとされる極細線や極小コイルの製造にも、これまで培ってきた巻線技術と現場の発想力を活かして取り組んでいます。
極細銅線の巻線加工、高密度巻線、小型コイルの試作・量産化など、技術的なお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お客様の製品仕様や課題に合わせて、最適な加工方法を検討いたします。
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