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真四角線コイル

従来、コイルに使用される電線は「円形」が一般的でした。しかし、小型化や高出力といったさらなる性能向上を目指し、2000年頃に「真四角線コイル」が製品化されました。

真四角線コイルの特長

占積率の向上

円形電線の場合、巻かれた電線同士の間に隙間が生じ、小型化には限界がありました。真四角電線では、隙間が減ることで占積率が向上し、高性能を維持しつつ小型化が可能になります。

 

 

断面積の最大化

円形と真四角の電線を同じ太さで比較した場合、真四角線の方が電流が流れる断面積が広くなります。これにより、抵抗値を15%以上低下させ、高い出力が実現できます。

 

 

放熱性の向上

真四角電線は表面積が広いため、放熱性が向上し、熱による劣化や故障のリスクを軽減します。

真四角線コイルの製造に関する課題

多くの利点がある真四角線コイルですが、製品化には次のような課題がありました。

 

  • 真四角線は円形線に比べて柔軟性が低く、取り扱いが難しい。
  • 形状が複雑であるため、製造コストが高くなる。

 

これらの課題を克服するため、社内で研究を重ね、専用加工機の開発を行い、真四角線コイルの巻線技術を確立しました。これにより、高性能なコイルの試作開発が可能となりました。

補助事業を通じて開発された技術(成果品)は、既存の取引先から高い評価を受け、試作開発で使用した機械装置は生産用途へ転用が進んでいます。

真四角線コイル 試作品事例

  • カセット型コイル
    サイズ 12×20×11mm(ワイヤー寸法1.10)
    業界 輸送機器
    用途 アキシャルギャップモータ
    丸線(φ1.2)から性能アップのための試作をしました。
  • 分割ステータ
    サイズ φ50分割コア(ワイヤー寸法1.05)
    業界 輸送機器
    用途 電磁ブレーキ
    丸線(φ1.1)で製作している既存品を真四角線で試作しました。(巻数16.5T) 2層目から3層目に移るときの機械動作と形状の保持の工夫により実現しました。
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