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真四角線分割ステータ巻線

コイルにおいて、ステータの寸法と性能の向上は最大のテーマの一つである。既存製品の寸法を維持しつつ、出力を向上させたいという課題は、ほとんどのお客様が抱える共通の悩みである。

真四角線の利点と課題

例えば、円形電線を真四角線に変更することで、占積率や断面積が拡大し、流れる電流が増加するため、性能の向上が可能となる。しかし、「真四角線コイル(リンク)」の記事でも述べたように、電線の扱いが難しく、一筋縄ではいかないケースが多くある。

 

試作から量産への挑戦

私たちが手がける「真四角線分割ステータ巻線」では、試作品を手巻きで製造した際に期待通りの性能を発揮することに成功した。しかし、量産化の際に機械巻きを行ったところ、試作品と同様の性能を得ることができなかった。

高性能な試作品の量産化を実現するため、量産製造工程を一つ一つ見直した。その中でも特に大きな改善点となったのが、「ステータの分割」である。

巻線技術の確立に向けた取り組み

従来の工程では、ステータに電線を巻き上げる方法が一般的であったが、ステータの形状が複雑になると、巻き上げに適切な力がかからないことがあった。そこで、ステータの形状をシンプルにして巻き上げ、高い出力を維持することを目指した。さらに、複雑な形状のステータを一旦分割し、電線を巻き上げた後にステータを組み立てるというアイデアも試した。

このように技術者からのアイデアをもとに、トライアンドエラーを繰り返した。

課題克服と技術力の向上

分割したステータに電線を巻き上げる際、各ステータ間にクリアランス(空洞)が生じる恐れがあった。このクリアランスが原因で「コギング(リンク)」が発生し、モータや製品そのものの性能に悪影響を及ぼす可能性があるため、絶対に解決しなければならない課題であった。

また、真四角線は丸線に比べて巻き上げ時の回転速度においても慎重な作業が求められる。機械巻き上げにおいても、高度な技術力が必要である。

まとめと今後の展望

これらの課題を弊社の高い技術力と一貫した生産体制で解決できることが判明した。この経験を通じて、真四角線コイルの巻き上げ技術が確立できたことは、私たちにとって大きな財産である。

今後も、より高性能なコイルを生産できるよう努力と研究を重ね、お客様の課題を一つでも多く解決していきたいと考えている。

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